寂しいお別れ

2012.01.07

鉄板で生地を焼き、それを輪にして鉄板に並べ、底に生地を流してその上にあんこを入れる。更にその上に生地をのせ、裏返して焼いて出来上がりというわけだ。これらの作業が熟達の職人達の手によって、流れるように進んでいく様を見るだけでも楽しいものだった。この不思議な様を僕は子供の頃から幾度見つめただろうか。「望月」を大の好物としていた祖父に連れられ、夏には、この店のもうひとつの名物でもある「京の鮎」も楽しみにしていた。

[参考サイト]
岩室温泉の温泉・露天風呂のある宿・ホテル - じゃらん温泉ガイド
http://www.jalan.net/onsen/OSN_50199.html

倉敷・総社・井笠周辺のホテル - じゃらんnet
http://www.jalan.net/hotel/330000/LRG_330500/

西宮市のホテル - じゃらんnet
http://www.jalan.net/hotel/280000/NO_101466/

多くの菓子屋が多店舗展開やデパートへの出店を加速させる中、「望月本舗」はかたくななまでにそれを拒み、ただこの店だけでの営業を守り、それ故かどうか、後継者難からとも、店舗維持困難からともいわれる理由で店を閉じることを決めた。平成一八(二〇〇六)年の初夏。その閉店の報せを聞き、突然の店仕舞いを惜しんだ都人は連日店を訪ね、「望月」を求める列を作ったが、それでも、この店は以前と変わらぬ手作りを守り、従って多くが買い求めることも叶わず、だが誰ひとり店を恨むことなく、長い間の労をねぎらって、礼まで述べて店を後にしたのだ。しかしそれを伝える雑誌などただの一誌もなかったのは寂しい限りである。