洛北・大原、或いは美山、毎朝、店主自ら野山に分け入り、草々を探し歩く。更には畑に入り、手ずから収穫する。そうして集めてきたものを調理する。開店当初から「草喰なかひがし」の料理の根幹をなしてきた作業は今も変わることなく続いている。洛外から集められた素材が持つ空気は佗びた秋だが、そこに店主の手が加わると、一転、都の風情を漂わせる洗練のひと皿へと形を変える、という趣もまた健在である。年々その人気は増すば
侘びた秋が洗練のひと皿へ... の続きを読む
京王プラザホテルのスタッフは、休憩時間に飲んだペットボトル飲料のキャップを捨てずに集めている。ポリオワクチンの寄付に役立てるためだ。このキャップは、ごみとして焼却すると、四〇〇個で三二五〇グラムのCO2が発生するという。そこで同ホテルは、NPO法人のエコキャップ推進協会にキャップを譲渡、それがリサイクルメーカーに売却されると、その利益がワクチン寄贈団体に寄付され、発展途上国にワクチンがもたらされる
ボトル・キャップをポリオワクチンに... の続きを読む
ここ数年、名店、老舗で修業を積んだ若手料理人たちが、次々と独立してお店を開いている。時代のサイクルがどんどん早くなり、昔のように何十年ものキャリアを重ねてようやく独立、などと悠長なことは言っていられないのだろう。だが現実はそう甘いものではない。形だけの修業しか積まなかった料理人の開いた店はやはり見劣りする。目新しさだけで、フードライター達に持ち上げられているうちが華。移り気で気まぐれな彼らはすぐに
実力ナンバーワンの評価... の続きを読む
鉄板で生地を焼き、それを輪にして鉄板に並べ、底に生地を流してその上にあんこを入れる。更にその上に生地をのせ、裏返して焼いて出来上がりというわけだ。これらの作業が熟達の職人達の手によって、流れるように進んでいく様を見るだけでも楽しいものだった。この不思議な様を僕は子供の頃から幾度見つめただろうか。「望月」を大の好物としていた祖父に連れられ、夏には、この店のもうひとつの名物でもある「京の鮎」も楽しみに
寂しいお別れ... の続きを読む
神的なものはやはり空間のあり方に通じるようで、聖地のような場所の巨大な伽藍も、メトロポリスの小さな谷筋の一角を成す神社も、私たちに最初に提示されるのは空間の形態であるようだ。続いて現れてきた光景は、川沿いに並ぶ庶民の住宅街。ちと古いアパートがあったり、がさがさっととめられた自転車や単車があったり、椿山荘辺りと対照的でいかにも市井の東京という匂いがする。少し汚れたモルタルの壁に、冬の斜光が作った影が
幻影だった都心を実感した... の続きを読む